ミケランジェロの「大洪水」に描かれた女性が乳がんの症状を示す可能性が研究で指摘され、神学的なメッセージが意図されたとされる。
要約するとドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学とフランスのパリ・サクレー大学の研究者たちが、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画「大洪水」に描かれた女性が乳がんの症状を示している可能性についての論文を発表しました。
この研究は、特に壁画の端に描かれた若い女性に焦点を当てています。
彼女は青いスカーフと外套を身につけており、左乳房は正常な形態を示す一方で、右乳房には病的な特徴が見られます。
具体的には、右乳房の乳頭は陥没し、皮膚にはくぼみや傷跡が存在し、腫瘤を思わせる膨らみも確認されています。
研究者たちは、ルネサンス期の平均寿命が35歳程度であったことから、当時の乳がんの発症状況についても考察しています。
さらに、トスカーナ地方での「BRCA1遺伝子」の変異が若年での乳がん発症に関連していることも指摘されています。
ミケランジェロは解剖学的な知識を持っており、健康な乳房の形態を正確に描写する能力があったことが確認されています。
神学的な観点からは、この描写が生命の無常さや罪への罰を象徴していると考えられています。
研究チームは、ミケランジェロが意図的に病気を表現し、神学的なメッセージを伝えようとしたと結論づけており、ネオプラトニズムの影響を受けた彼にとって、身体の変形や病は精神的な深淵の表現であり、美と調和の追求による不死との対比として描かれたと考えています。
参考リンクhttps://news.yahoo.co.jp/articles/283210ecc0bbe72352def9396f5d63844797e587