テザー社がMiCA準拠のステーブルコイン企業StablRに投資し、EU市場での地位を強化する戦略を発表しました。
この投資は、1400億ドル(約21兆円)規模のステーブルコイン「USDT」を手がけるテザー社が、EUにおける規制を遵守するための戦略の一環です。
StablRはユーロ連動型の「EURR」と米ドル連動型の「USDR」を発行しており、7月にはマルタで電子マネー機関(EMI)のライセンスを取得しました。
テザー社は、StablRの事業を支援するために、最近発表したトークン化プラットフォーム「Hadron」を通じて、コンプライアンスや本人確認(KYC)、マネーロンダリング防止(AML)チェック、リスク管理、流通市場監視のためのツールを提供します。
具体的な投資規模や評価額は明らかにされていませんが、テザー社の広報担当者は、同社がStablRの「相当数の株式」を保有していると述べています。
この投資は、年内に施行されるEUのMiCA規制に対応し、小規模な発行企業を支援することで、テザー社のEU市場での地位を強化することを目的としています。
テザー社は先月、自社のユーロ連動型ステーブルコイン事業を終了する決定をしましたが、オランダの規制下にある決済会社Quantozへの投資を行っています。
テザー社のCEO、パオロ・アルドイノ氏は、欧州のステーブルコイン市場が規制の進展に伴い、転換期を迎えていると述べ、特に脆弱な欧州の銀行セクターに対するシステミック・リスクを懸念しています。
MiCA規則は、主要なステーブルコイン発行企業に対し、裏付け資産の大部分を銀行預金で保有することを義務付けていますが、テザー社はその規則に対して批判的な立場を取っています。
現在、テザー社はUSDTの準備金の83%以上を米国国債、レポ契約、マネー・マーケット・ファンドで保有しています。
ステーブルコインは、急速に成長している2000億ドル規模のデジタル資産クラスであり、暗号資産取引の流動性を高め、日常的な支払いや送金に利用されることが増えています。
しかし、米ドル連動型ステーブルコインが市場の99%近くを占めている一方、ユーロ連動型ステーブルコインは普及が遅れ、市場価値はわずか4億ドル程度にとどまっています。
参考リンクhttps://news.yahoo.co.jp/articles/f5d7be0b0deea793c07e2a1cbb3939cc8d3e5881