ノーベル化学賞受賞のAlphaFold2が、精子と卵子の結合メカニズムを解明し、受精に関する新しい知見を提供しました。この研究は不妊治療や避妊薬の開発に影響を与える可能性があります。
この研究は、論文「A conserved fertilization complex bridges sperm and egg in vertebrates」として発表され、精子と卵子の結合に関わるタンパク質複合体を明らかにしました。
AlphaFoldは、2018年にGoogle DeepMindによって開発されたAIシステムで、タンパク質の3次元構造を高精度で予測する能力を持っています。
2020年にはその改良版であるAlphaFold2が登場し、2021年には複数のタンパク質が形成する複合体の構造予測を行う「AlphaFold-Multimer」が発表されました。
今回の研究では、AlphaFold-Multimerを用いて、精子と卵子の結合を仲介するタンパク質複合体を発見しました。
従来の考えでは、受精には卵子と精子上の2つのタンパク質だけで十分とされていましたが、この研究はその見解を覆すものです。
研究チームは、ゼブラフィッシュとマウスを用いて実験を行い、AlphaFold-Multimerを介してタンパク質間の相互作用を予測しました。
その結果、3つの精子タンパク質(Izumo1、Spaca6、Tmem81)が複合体を形成することが示され、特にTmem81が新たに受精に不可欠であることが確認されました。
また、これらのタンパク質は魚類と哺乳類の精子で相互作用し、受精を可能にすることがわかりました。
さらに、ゼブラフィッシュでは「Bouncer」、哺乳類では「JUNO」という異なる卵子タンパク質と結合することが明らかになり、脊椎動物の進化におけるメカニズムの保存と多様化を示唆しています。
この発見は、受精のメカニズムに新たな洞察をもたらし、不妊治療や避妊薬の開発に大きな影響を与える可能性があります。
参考リンクhttps://news.yahoo.co.jp/articles/005f6348bc6559daf294f05abb46cab3cac9a4f1