オーストラリアとデンマークの研究者が、母乳を用いて水に溶けにくい薬・クロファジミンの吸収を改善する研究を発表。実験で吸収率が大幅に向上したことが示された。
要約するとオーストラリアのモナシュ大学とデンマークのコペンハーゲン大学の研究者チームが発表した論文では、薬が水に溶けにくい問題を母乳や牛乳を利用して解決しようとした研究結果が示されています。
研究の対象となった薬はクロファジミンで、これは主に乳児の感染症治療に使用されます。
しかし、クロファジミンは水に溶けにくいため、乳児が飲みやすい形にすることが難しいという課題がありました。
そこで研究者たちは、母乳と牛乳に着目し、これらを基剤として使用することで薬の経口投与時の体内動態を改善することを試みました。
実験ではラットと新生仔ブタを使用し、薬を水に溶かした場合と母乳や牛乳に溶かした場合で比較を行いました。
その結果、母乳を使用した場合、ラットでは薬の吸収率が2.58倍に向上し、新生仔ブタでも母乳で1.54倍、牛乳で1.75倍の吸収率改善が見られました。
この改善の要因として、乳に含まれるトリグリセリドなどの脂肪成分が重要であると考えられています。
消化過程で乳の脂肪が分解され、薬が溶けやすくなると考えられています。
この研究は、母乳を利用することで水に溶けにくい薬の投与が可能になる可能性を示唆しており、今後の医療において重要な発展が期待されます。
参考リンクhttps://news.yahoo.co.jp/articles/a3d4b8785f4390ddaaf00e9877ba7352ad3ca7d1