半導体製造に革新をもたらすMST技術が、歩留まり向上やコスト削減に寄与し、実用化に向けた動きが加速しています。
その中でも、製造プロセスにおける歩留まりの向上とコスト削減は、業界の重要な課題として浮上しています。
米国のAtomera(アトメラ)が開発した「MST(Mears Silicon Technology)」は、これらの課題を解決するための新しい成膜技術として注目されています。
MSTは、シリコンなどの半導体材料に酸素膜を形成することで、不純物イオンの拡散を抑制し、トランジスタ特性のばらつきを軽減します。
この技術により、デバイス性能の向上やゲートリークの抑制が実現され、結果として歩留まりの向上とコスト削減に寄与します。
アトメラのビジネス開発担当者である岡本有司氏は、MSTが最先端デバイスからアナログ半導体、RF、パワーデバイスに至るまで、幅広いデバイスの信頼性や歩留まり向上に貢献できると述べています。
さらに、アプライドマテリアルズ、ASM、KOKUSAI ELECTRICの三社と連携し、成膜装置を活用したMSTの研究開発を進め、半導体メーカーにMSTの利点を提案しています。
半導体メーカーにとって、歩留まり向上は大きなテーマですが、MSTの導入には専用の成膜装置が必要であり、工程数の増加によるコストや製造時間の増大が懸念されています。
しかし、昨年3月にはSTマイクロエレクトロニクスがMSTのライセンス供与に合意し、実用化に向けた動きが加速しています。
アトメラは、2ナノメートルプロセスやGAA(ゲート・オール・アラウンド)などの最先端アーキテクチャに向けて、MSTの提案を強化しており、岡本氏は「最先端デバイスではMSTのメリットがより大きくなるため、今がチャンス」と期待を寄せています。
参考リンクhttps://news.yahoo.co.jp/articles/7ed90a768c28364011f939ee81a585ac5bd26b0c