日本企業が直面する経営上の困難を背景に、「変動費」と「固定費」の理解が不採算製品撤退の判断に必要です。固定費の負担を考慮しないと、全体の収益性が悪化する可能性があります。
この中で、不採算製品からの撤退を判断するには、原価を「変動費」と「固定費」に分解する「固変分解」の理解が重要です。
変動費は生産量や販売量に比例して増減する原価で、例えば直接材料費や直接労務費がこれにあたります。
一方、固定費は操業度に関係なく発生する原価で、工場の火災保険料や減価償却費、固定給の工場長の給与などが含まれます。
固定費は生産量がゼロでも発生し、これが企業の赤字を引き起こす要因となります。
したがって、不採算製品からの撤退は慎重に検討する必要があります。
直感的には早期撤退が収益性向上に寄与すると考えられがちですが、実際にはそうではない場合が多いです。
具体例として、A、B、Cの3種類の製品を製造する企業を考えます。
Aは120円で200個、Bは140円で150個、Cは180円で100個売れたと仮定します。
これらの製品の直接費(変動費)を考慮すると、Aは60円、Bは80円、Cは150円かかります。
また、固定費を22,500円とし、製造数量に基づいて配賦すると、Aには10,000円、Bには7,500円、Cには5,000円がかかります。
これを基に損益計算を行うと、Aは2,000円、Bは1,500円の営業利益を出す一方、Cは2,000円の赤字を出します。
しかし、Cを撤退させると、全体の営業利益は1,500円から赤字に転落する可能性があるため、注意が必要です。
つまり、赤字製品であっても、固定費の負担を分散する役割を果たしていることを理解することが、企業の収益性を管理する上で重要です。
参考リンクhttps://news.yahoo.co.jp/articles/93226398bc4483c08b3d26c8c6afed9cb395d311