映画「雨の中の慾情」は、つげ義春の漫画を基にした片山慎三監督の作品で、夢と現実が交錯する独特の物語が描かれています。戦争の要素も取り入れられ、人間の脆さがテーマとなっています。
片山監督は、これまでの作品で貧しい人々の悲哀と滑稽さを描いてきた実績があり、つげ義春の漫画とその世界観との親和性が高いことから、本作の監督に選ばれたことは非常に適切だったと言えるでしょう。
映画のストーリーは、主人公・義男(成田凌)が見た夢として提示される男女の出会いから始まり、その後、離婚した女性の引っ越しを手伝うことから禁制品の運び屋としての生活へと展開していきます。
また、義男が関わるさまざまなエピソードが、つげの短編漫画から巧みに組み合わされています。
さらに、映画にはオリジナルの戦場のシーンが加えられており、これは片山監督が台湾でのロケ中に触発されて盛り込んだものです。
戦争の要素は、片山監督が挙げる「ジェイコブス・ラダー」や「スローターハウス5」、「フルメタル・ジャケット」との共通点を通じて、国家の力に翻弄される人間の脆さを描いています。
映画は、つげ義春の漫画が持つ物悲しさや滑稽さを反映したエロティックなシーンも含まれており、性の営みを冷静に俯瞰する視点が強調されています。
成田凌や中村映里子、森田剛などのキャストが、つげ漫画のキャラクターを深く体現し、台湾のノスタルジックな風景に見事に溶け込んでいます。
片山監督の独自の視点と演出によって、つげ義春と片山慎三の作品世界が交錯する魅力的な映画が完成しました。
参考リンクhttps://news.yahoo.co.jp/articles/7a8cb2b934fc9f575428735002dd56a9734f0d76