戦前の日本映画館は多様な音楽文化の交差点であり、西洋音楽や日本の伝統音楽が共存していました。柴田康太郎氏の研究がその重要性を明らかにします。
要約すると戦前の日本における映画館は、単なる映像体験の場にとどまらず、多様な音楽文化が交錯する「音文化の拠点」としての役割を果たしていました。
柴田康太郎氏の著書『映画館に鳴り響いた音──戦前東京の映画館と音文化の近代』は、サントリー学芸賞を受賞し、映画館での音楽体験の重要性を探求しています。
サイレント映画の時代、映画館では生演奏が行われ、観客は西洋音楽を楽しむ一方、弁士の語りや日本の伝統音楽も体験していました。
大正後期には和洋合奏が登場し、音楽の多様性がさらに広がりました。
サウンド映画の普及に伴い、実演は減少したものの、録音された音声や効果音が新たな体験を提供しました。
本書は、明治中期から昭和初期の東京に焦点を当て、映画館がどのように音文化を形成してきたのかを明らかにしています。
柴田氏は、当初は資料の不足に直面していたものの、研究を進める中で多くの貴重な資料に出会い、共同研究を通じて多様な専門家との交流を深めてきました。
今後は、東京以外の地域や海外の日系移民に関する研究も進める意向を示しています。
映画と音楽の豊かさを伝えることに力を注ぎ、さらなる研究を続ける姿勢が印象的です。
参考リンクhttps://news.yahoo.co.jp/articles/b6b7b589a959b699e8d63d3bfbba3f3924a11efc