宇宙利用に向けた生体模倣システムの実現可能性

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JAMSSが宇宙用生体模倣システムの地上試作品を開発し、細胞培養実験に成功。宇宙環境での医薬品開発に向けた新たな手法として期待が高まっています。

要約すると有人宇宙システム(JAMSS)は、東京応化工業(TOK)や東海大学と共同で、宇宙用の「生体模倣システム(Micro Physiological Systems:MPS)」の地上試作品を開発し、細胞を用いた実証実験に成功したと発表しました。

MPSは、ヒトの細胞や組織を精密に培養し、従来の細胞培養技術よりも生体に近い環境を再現することができるシステムです。

この技術により、複数の臓器特異的細胞を連結し、臓器間の相互作用を評価することが可能となります。

MPSは医薬品、食品、化粧品の開発過程で、従来の動物実験やヒトによる臨床試験に代わる新たな手法として注目されています。

特に、米国では「米食品医薬品局(FDA)近代化法 2.0」が施行され、新薬開発における動物試験の義務が撤廃される中、MPSへの期待が高まっています。

さらに、欧米や日本でもMPS技術の開発や社会実装に向けた取り組みが進行中です。

宇宙分野では、NASAをはじめとするアメリカの企業や大学が、国際宇宙ステーション(ISS)の微小重力環境下でMPSを構築する「Tissue Chips in Space」プロジェクトに取り組んでいます。

JAMSSは、宇宙創薬研究支援としてタンパク質結晶生成サービス「Kirara」を展開しており、次のステップとして宇宙環境でのMPSの実用化に注目しています。

2023年からは、MPS装置の開発と製品化を進める東海大学と共同研究を開始しました。

宇宙用MPS装置は、ISSに搭載するための安全性などの厳しい要件を満たすために設計変更を行い、流体制御技術も確立しました。

この装置は20cm×20cm×20cmのサイズで、宇宙での細胞培養実験が成功し、宇宙適応性の検証も完了しました。

これらの成果を基に、3者は「宇宙×MPS」ミッションを開始し、地上での医薬品や食品、化粧品の開発への応用を目指しています。

また、ISSの運用が2023年に終了する予定であるため、民間企業が開発する宇宙ステーションを見据えたMPS装置の開発も進めていく方針です。

参考リンクhttps://news.yahoo.co.jp/articles/b93b40f87ba9a61d10d0ad824f04d9a32e4dda4f

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