1968年以前に生まれた人々は、H5N1ウイルスに対する抵抗力が約3倍高いことが研究で示された。過去のウイルス感染が免疫力を向上させる要因とされ、ワクチン接種の重要性も強調されている。
この研究は、フィラデルフィア市民121人の血液サンプルを分析したもので、過去にH1N1やH2N2ウイルスに感染した経験がある高齢者が、H5N1に対する抗体を多く持っていることが示された。
感染のリスクが低い高齢者は、これらのウイルスに過去に感染したことで免疫力が向上していると考えられている。
研究結果は、未発表論文公開サイト「メドアーカイブ」で発表された。
H5N1ウイルスは主に鳥類に感染するが、ウイルスの表面にはヘマグルチニン（HA）とニューラミニダーゼ（NA）があり、これらが人間の呼吸器細胞に付着する際の鍵となる。
研究者たちは、H1N1やH2N2に感染したことがある人々の抗体を調査し、1968年以前に生まれた人々がH5N1ウイルスに対する免疫反応が強いことを確認した。
さらに、抗体がH5N1ウイルスに結合した際に、免疫細胞がウイルスを破壊するシグナルを送ることも確認された。
ポルトガルの専門家は、これらの抗体がH5N1感染による重症化や死亡のリスクを低下させる可能性があると述べているが、同時に高齢者は免疫システムが加齢により弱くなるため、依然として重症化のリスクがあることにも注意が必要だと警告している。
研究チームは、H5N1ワクチンの効果についても言及し、若い世代はワクチン接種により高い免疫力を得る可能性があると指摘している。
この研究は、今後の感染症対策において重要な知見を提供するものである。
参考リンクhttps://news.yahoo.co.jp/articles/a64b8978bf1fd7da4fa239cb202a8895c4ca1212