映画「敵」は、長塚京三が主演するサイコドラマで、孤独な老教授が「敵」と対峙する姿を描いています。平穏な日常が崩れ、彼の内面の葛藤が浮き彫りに。全編モノクロの映像が狂気を演出し、観る年齢によって異なる受け取り方ができる作品です。
物語は、引退した元大学教授の渡辺儀助(長塚京三)が、孤独な老後を過ごす中で「敵」との対峙を描いています。
儀助は、妻を失い、大学を退職して10年が経過し、質素な生活を送っていましたが、ある日PCに「北から敵が来る」というメールが届くことで、彼の日常が一変します。
周囲には教え子や近所の大学生など、少数の知人がいますが、彼の平穏な生活は崩れ始め、奇妙な出来事が次々と起こります。
監督の吉田大八は、長塚京三を念頭に置いて脚本を仕上げたとされ、長塚は自身のエッセイで老いに対する思いを綴り、厳選した役を演じる姿勢を示しています。
作中での儀助は、インテリでありながらも、好物を食べ、亡き妻の衣類を抱いて眠るなど、内面の葛藤を抱えています。
また、長塚は入浴シーンなどで自身の肉体をさらけ出し、老人の日常をリアルに演じています。
物語は、儀助が「敵」の警告を受け取ってからの生活の変化を描き、全編モノクロの映像が狂気を醸し出します。
映画は、認知症などをテーマにした作品とは異なり、独居の状況から儀助の視点を中心に展開し、観客は彼の脳内の変化を体験します。
人生の終焉に対する考察を促す本作は、観る年齢によって異なる受け取り方ができる作品であり、再度観たいと思わせる力を持っています。
参考リンクhttps://news.yahoo.co.jp/articles/bb6d869df777bc3774a0002424eb6d8be903cd70